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開発ニーズ指向のコベネフィット型温暖化対策・
CDMの実現に向けたテレビ会議について

2007年4月26日

海外環境協力センター(OECC)は、環境省による支援のもと、2007年3月に「コベネフィット型温暖化対策・CDMの実現に向けたテレビ会議」を開催した。
このテレビ会議は、中国・インド・インドネシア・フィリピン・タイの5ヵ国と個別に開催し、それぞれ気候変動・CDMの政府担当官や専門家が出席し、「コベネフィット」*1 の考え方を共有するとともに、各国における開発ニーズ志向のコベネフィット型温暖化対策・CDMに実現にむけて意見交換が行われた。
参加各国はコベネフィット型温暖化対策 *2CDM *3 の推進に賛同するとともに、省エネ・再生可能エネルギー・大気汚染・水質汚濁・交通対策・廃棄物管理等のセクターでのニーズが高いことを指摘した。
また、OECCは、本会議の成果と2006年4月以降行われてきたコベネフィットに係る調査結果を報告することを目的として、2007年5月にドイツ・ボンで開催される国連気候変動枠組条約(UNFCCC)第26回補助機関会合(SB26)において、サイドイベントを開催することとなった。
今後、会議・調査の成果を踏まえ、途上国においてコベネフィット型温暖化対策・CDMを実現するための取組を進めていくこととしている。


国際社会の利益 / 地球益
開発と温暖化対策の共通の活動分野の図

コベネフィット型温暖化対策・CDMでは、開発ニーズの充足と温暖化対策を同時に実現できる共通の活動分野に焦点をあて、プロジェクト活動等を実施する。

*1 コベネフィット(相乗便益)とは、開発途上国の開発ニーズと地球温暖化防止のニーズを同時に満たすことから生まれる便益を指す。

*2 コベネフィット型温暖化対策とは、開発途上国の開発ニーズ及び環境ニーズの具現化の一環として行うことが可能な温暖化対策を指す。

*3 コベネフィット型CDMとは、開発途上国の開発ニーズ及び環境ニーズに配慮し、それらのニーズと温室効果ガスの削減双方を達成することを試行したCDMのことである。


コベネフィット・テレビ会議に参加したパートナー機関

国名 パートナー機関 開催日程
インドネシア 環境省(MOE)、スラバヤ市、ボゴール市 2007年3月1日
フィリピン 環境天然資源省(DENR) 2007年3月16日
中国 国家情報センター、寧夏省政府、貴州省政府 2007年3月29日
タイ 環境天然資源省(MONRE) 2007年3月30日
インド エネルギー資源研究所(TERI) 2007年3月30日

会議の概要

【背景と目的】

開発途上国の優先課題である開発の促進と、地球温暖化防止とを同時に実現させる「コベネフィット型温暖化対策・CDM」は、国内外で大きな注目を集めている。特に、開発途上国による低炭素社会型の開発を支援するためには、途上国が抱えるエネルギー・貧困・環境破壊・地域格差等の問題を同時に解決し、途上国の主体性(オーナーシップ)を高めることが重要である。
本テレビ会議は、開発途上国の主要なステークホルダーから、コベネフィット型温暖化対策・CDMを実施する上でのニーズを抽出し、具体的な重点分野を明らかにするために実施された。

【参加パートナーからの声】

  • インドネシア
    • Upik Kamil氏(インドネシア環境省)は、インドネシアにおけるCDM推進のため、ローカルな環境改善(大気汚染・水質改善)に資する案件を増加させることを期待していると述べた。
    • Togar Silaban氏(スラバヤ市環境局)は、インドネシアにおける一般廃棄物の問題は極めて深刻であり、CDMの活用を期待していると述べた。また、都市における環境管理のマスタープランを作成し、その中でCDMが活用できる分野を明確にすることが重要であると指摘した。
    • Indra Roesli氏(ボゴール市)は、同市の民間事業者と協力し、食用の廃油を利用したバイオディーゼル燃料の開発と、BRT等の交通セクターでの活用を開始したいとのことである。
  • フィリピン
    • Ely Anthony Ouano氏(フィリピン天然資源環境省環境管理局)およびJoyceline Goco氏(省庁間気候変動事務局)は、フィリピンにおけるポテンシャル・セクターとして廃棄物管理を挙げた。両氏は、同国では各地域における廃棄物管理を自治体主導で行うことを推進しているので、自治体を巻き込んだ形でのコベネフィット型温暖化対策・CDMの実現に関心を示した。
    • バガス等を活用した再生可能エネルギーの普及について、これによって農村地域におけるエネルギー供給を促進することになるので、再生可能エネルギーの普及も有望なセクターとして言及した。
  • 中国
    • Dou Zixi氏(寧夏省CDM環境保全センター)は、中国寧夏省で深刻な問題となっているのは炭鉱での爆発事故であり、炭鉱メタンCDMを実施することは労働者の安全管理の上でも重要と述べた。
      また回収したガスを家庭用燃料として販売することも地域経済に貢献すると指摘した。その他、バイオマスの活用や省エネにも関心があると述べた。
    • Fei Jidong氏(貴州省発展改革委員会CDMセンター)は、大気汚染・水質汚濁防止、植林・森林保全の分野で温暖化対策・CDMを行うことが重要であると指摘した。
      また、珠江上流の貴州の開発・環境問題の解決は、下流の珠江デルタ地域(広州・香港・深せん・マカオ等)の経済圏への洪水被害、汚水の流入に効果があるとも述べた。
  • タイ
    • Prasertsuck Chamornmarn氏(タイ天然資源環境省 天然資源・環境計画政策局)は、タイにおけるポテンシャル・セクターとして大気汚染・廃棄物管理・排水管理・森林管理を挙げた。
      例えばタイ北部チェンマイ市の深刻な大気汚染問題を指摘したうえで、大気汚染問題の解決にも資する形での温暖化対策・CDMを実施することは非常に有効であると述べた。廃棄物管理については、埋立処分場の運用も含めた国家計画を策定しており、タイにおいて有効な廃棄物管理を実現することが重要であるとした。
    • さらに、Chamornmarn氏は、ポテンシャル・セクターとしてタイ各地の多数の小規模養豚場と交通セクターを挙げた。
    • 同氏によれば、コベネフィット型温暖化対策・CDMを進める上でのキャパシティー・ビルディングを実施することが期待されるとのことである。
  • インド
    • Vivek Kumar氏(資源研究所/TERI)は、これまでのインドにおけるCDMの問題点は、先進国からの技術移転がほとんどないことと述べた。
      技術移転を促進し省エネ等のコベネフィットを促進するプロジェクトとして、火力発電所の効率改善プロジェクトの実施を希望しているとのことである。
    • コベネフィットの考え方は、インドにおける新たな温暖化対策・CDMの推進に重要なインパクトを与えるだろうと述べた。

会議画像

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まとめ

コベネフィット型温暖化対策・CDMに関するTV会議の結果、各国担当官・専門家より、それぞれの開発課題に着目した温室効果ガス削減取組のニーズがあることが確認された。
これらの具体的ニーズを基礎に取組を実施していく際には、キャパシティー・ビルディング等の既存スキームや、開発援助機関・民間企業との協同を行っていくことが重要である。


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