国連気候変動枠組条約第26回補助機関会合(SB26)サイドイベント
「地球温暖化対策と開発促進のためのグッドガバナンス
- コベネフィット・アプローチによるイノベーション」について
国連気候変動枠組条約第26回補助機関会合(SB26)サイドイベント
- コベネフィット・アプローチによるイノベーション」について
「地球温暖化対策と開発促進のためのグッドガバナンス
- コベネフィット・アプローチによるイノベーション」について
2007年5月30日
海外環境協力センター(OECC)は、環境省との共催で、2007年5月11日(金)に国連気候変動枠組条約第26回補助機関会合(SB26)のサイドイベントとして「地球温暖化対策と開発促進のためのグッドガバナンス-コベネフィット・アプローチによるイノベーション(Good Governance for Climate and Development and Co-benefits Innovation)」を開催した。
本サイドイベントは、平成18年度に行った「発展途上国の開発ニーズ志向のコベネフィット型温暖化対策・CDMの実現に向けて」と題する検討調査の結果に基づいて、気候変動へのコベネフィット・アプローチを紹介するとともに、発展途上国を含む各国政府関係者をはじめとする実務責任者から「コベネフィット」の考え方とコベネフィット型温暖化対策・CDMを推進するために必要な取組みについて意見交換が行われた。
本サイドイベントには、各国政府関係者や研究機関等から約40名程度が参加し、活発な議論が行われた。
OECCは、今後、会議・調査の成果を踏まえ、途上国においてコベネフィット型温暖化対策・CDMを実現するための取り組みを進めていくこととしている。
開催日時
2007年5月11日(金) 18:00~20:00
場所
ドイツ環境省 (ドイツ・ボン)
発表者
【座長】
- 平石 尹彦氏 (財団法人地球環境戦略研究機関上級コンサルタント)
【発表者】
- 川又 孝太郎氏 (日本環境省地球環境局地球温暖化対策課課長補佐)
- Hanafi Sulistyowati氏 (インドネシア環境省気候変動影響管理局副局長)
- Joyceline Goco氏 (フィリピン環境天然資源省 環境管理局気候変動省庁間委員会事務局長)
- 川西 正人氏 (独立行政法人国際協力機構 国際協力総合研修所国際協力専門員)
- Susan Wickwire氏 (米国環境保護庁気候変動課主任)
- 加藤 真氏 (社団法人海外環境協力センター主任研究員)
議論のポイント
- 川又 孝太郎 氏 (日本環境省)
発表資料(PDF)
近年、発展途上国が求める経済社会開発のニーズを満たしながら地球温暖化防止を進める対策としてコベネフィット(相乗便益)・アプローチが注目されている。 国際交渉上の重要事項となっている発展途上国の温暖化対策を、途上国における実際の開発活動に伴う形で進めることで、途上国の温暖化対策を促進することができる。
平成18年度に環境省で行った「地球温暖化対策及びCDMを通じたコベネフィットの実現に係る調査検討会」の成果を報告し、気候変動対策を行うことが開発の阻害要因となるのではなく、Win-winの関係を目指すコベネフィット・アプローチが有益である。 - Hanafi Sulistyowati 氏 (インドネシア環境省)
発表資料(PDF)
インドネシアのCDMプロジェクトの承認手続では、「持続可能な開発に係るクライテリア」を設けており、環境・経済・社会・技術の各側面について持続可能な開発に貢献するか否かを判断するための指標が定められている。
インドネシアにおけるコベネフィットは、持続可能な開発を達成することであり、具体的には再生可能エネルギーの活用やコミュニティの開発等々が挙げられる。その上で、コベネフィットを推進するためには、
(1)中央および地方政府のキャパシティ・ビルディング、
(2)持続可能な開発を達成するための具体的なパイロットプロジェクトの実施、
(3)CDMプロジェクトの改善等の取り組みが必要である。
また、現在、コベネフィット型CDMプロジェクトのポテンシャルについて具体的な検討を行っており、リスト化することを検討している。 - Joyceline Goco 氏 (フィリピン環境天然資源省環境局) 発表資料(PDF)
フィリピンでは、2007年2月に気候変動に関するタスクフォースを設置し、関係省庁の関係者が議論を行い気候変動に関するアクションプランを策定した。当該プランにおけるエネルギー・森林・廃棄物管理等の各分野における取組みとそこで考えられるコベネフィットを挙げて、CDMプロジェクトのコベネフィットとして、最も重要なのは発展途上国の持続可能な開発を達成することである。
フィリピンのCDMプロジェクト承認手続では持続可能な開発に貢献するか否かという点を経済・環境・社会の各側面から判断しているが、「持続可能な開発指標」においては定量的評価を導入することが重要である。
コベネフィットを推進する上での課題として、まずはコベネフィットに関する認識が十分ではないことが挙げられる。
また、気候変動に関連する活動(ODAやCDMを含む)のコベネフィットを定量化するための知見・経験・技術が発達していないことと各セクターによって優先事項や関心事項が異なることもコベネフィットを推進する上での課題である。 - 川西 正人 氏 (国際協力機構) 発表資料(PDF)
フィリピン・アルゼンチン等におけるCDMホスト国の指定国家機関(DNA)に対する能力向上プログラムをはじめ、国際協力機構(JICA)はCDMのホスト国に対するキャパシティ・ディベロップメント支援に取組んでいる。
能力(Capacity)とは「個人・組織・社会・制度の各レベルにおける課題対処能力の総体」であり、キャパシティ・ディベロップメントにおいてはオーナーシップ(Ownership)が不可欠である。
また、コベネフィットを推進するためには、気候変動と開発に関連する組織間の連携など、社会・制度レベルのキャパシティ(Enabling Environment)の向上が特に重要となる。 - Susan Wickwire 氏 (米国環境保護庁) 発表資料(PDF)
米国環境保護庁等では、大気汚染分野を中心にコベネフィット・アプローチの取組みを行ってきた実績がありコベネフィット・アプローチを確立してきた。成功の秘訣は、政策決定者にとって分かりやすい点でコベネフィットの定量的評価であったといえる。現在、大気汚染分野以外にもコベネアプローチを広げることを試みており、日米のパートナーシップでも課題の一つとなっている。
コベネフィット・アプローチを進める上で、キャパシティ・ビルディングを行いながら実際の案件(CDMやODAその他のプロジェクト)を進めることが重要であると指摘した。発展途上国としては、キャパシティ・ビルディングとセットになっているものを受け入れることに強い関心を持っている。 - 加藤 真 氏 (海外環境協力センター) 発表資料(PDF)
CDMやその他のスキームを活用した活動のうち、投資だけの側面から見ると一見無駄のように見えるような部分もあるが、現地の開発便益を実現させることに関心が高い民間企業は驚くほど多くある。
しかし、それらを後押しするためのスタンダードや、客観的評価手法作りなど、今後コベネフィットを推進するためのツール開発等、今後の課題として挙げられる。
また、発展途上国の開発目標とのアラインメントが重要である。具体的な活動に根ざしながら、途上国と先進国とが協同して、気候変動対策の新しい推進方法をデモンストレーションしていくことが出来ればよいと考える。 - 平石 尹彦氏 (地球環境戦略研究機関) 発表資料(PDF)
発表から、コベネフィットを実現させるための温暖化対策やCDMについては非常に魅力的である 一方、実際の投資の段階になると困難が生じるものも少なくないことが明らかになった。
それは現在の制度がそれを積極的に評価するようになっていないことも一因であり、例えば将来の制度設計等の中で、開発促進に資するコベネフィット型CDMを取り入れることなどを考えてみるのが有効ではないか。既存の枠組の中では民間の投資が集まりにくいところにODAなどの活用を行うことも有効な手段の一つであると考えられる。
「気候変動と開発」の問題については、これまでも相互の重要な関連性が指摘されてきたものの、気候変動分野と開発分野それぞれの関係者の間で具体的な協同を図るという議論はあまり行われてこなかった。
サイドイベントの主催者である環境省及びOECCは、SB24、COP12、SB26と継続的にこのテーマを取り上げてきたが、これは、国際交渉とは異なる視点で参加者間の議論を促し、政策担当者の日常的な作業の参考としたいという目的を持っているもので有意義なものであると感じた。
会議画像
まとめ
本サイドイベントの結果、気候変動対策を行うことが開発の阻害要因となるのではなくWin-winを目指すコベネフィット・アプローチが有益であるとの共通認識を得たといえる。発展途上国の開発課題に即した形での地球温暖化対策・CDMに取組むために、コベネフィット・アプローチの普及啓発を盛り込んだキャパシティ・ビルディングの実施と開発援助機関・民間企業との協同を図っていくことが重要である。








