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国連気候変動枠組条約第28回補助機関会合(SB28)サイドイベント
気候変動と開発の統合
-途上国支援に向けた日本の新たなイニシアティブ-

2008年6月30日

海外環境協力センター(OECC)は、環境省との共催で、2008年6月2日に国連気候変動枠組条約第28回補助機関会合(SB28)のサイドイベントとして、「気候変動と開発の連携-途上国支援に向けた日本の新たなイニシアティブ-(Aligning Climate and Development - From Concept to a Realistic Operation: Japan's New Initiative to Support Developing Countries -)」を開催した。
気候変動は、先進国と開発途上国を含むすべての国の協力のもとで対策を講じるべき地球規模の重要課題である。しかし、開発途上国においては、依然として経済発展を進める開発が気候変動対策よりも優先的な課題とされる現実がある。気候変動と開発という共に重要な課題は、個別にではなく一体的に取り組むことが重要である。つまり、気候変動と開発の統合によって気候変動の悪影響を考慮した開発支援策の考案が可能となり、且つ一体的な取り組みの相乗便益を生み出されることで、双方の取り組みにおける成果を確実に挙げることが期待されている。
当サイドイベントでは、「2050年までに排出量半減」という長期目標を掲げる日本政府提案『クールアース推進構想』をはじめ、気候変動と開発双方の取り組みを統合する必要性を確認するとともに、日本による気候変動対策の推進と開発途上国に対する支援の今後の方策について議論を行った。


開催日時

2008年6月2日(月) 13時~15時

場所

ドイツ運輸省(ボン) Room "METRO"

発表者

【座長】

  • 平石 尹彦氏 (財団法人地球環境戦略研究機関 上級コンサルタント)

【発表者】

  • 中川 亜起子氏 (日本環境省 地球環境局地球温暖化対策課 課長補佐)
  • Aree Wattana Tummakird氏 (タイ天然資源環境省)
  • 村上 夕香氏 (国際協力銀行 開発業務部気候変動対策室 気候変動対策室付専門家)
  • 加藤 真氏 (社団法人海外環境協力センター主任研究員)

プログラム

  • 15分 【プレゼンテーション】
    気候変動対策と開発の統合:コベネフィットと統合的適応
    - 途上国支援に向けた日本の新イニシアティブ -
    • 財団法人地球環境戦略研究機関 上級コンサルタント 平石 尹彦氏
  • 20分 【プレゼンテーション】
    気候変動と開発における日本の協力イニシアティブ:G8環境大臣会合の結果から
    • 日本環境省地球温暖化対策課 課長補佐 中川 亜起子氏
    • 社団法人海外環境協力センター(OECC) 主任研究員 加藤 真氏
  • 20分 【プレゼンテーション】
    途上国に対する日本の資金援助スキーム
    • 国際協力銀行(JBIC)開発業務部気候変動対策室 気候変動対策室付専門家 村上 夕香氏
  • 20分 【プレゼンテーション】
    途上国側の観点と見解:インドネシア、タイにおける気候変動対策と開発の経験から
    • タイ天然資源環境省 Aree Wattana Tummakird氏
  • 30分 【質疑応答と討論】
  • 15分 【プレゼンテーション】
    気候変動と開発のための具体的成果をどう得るか?
    - コベネフィット、統合的適応、その他の活動 -
    • 社団法人海外環境協力センター(OECC) 主任研究員 加藤 真氏

会議画像

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議論のポイント

  • 気候変動と開発の統合:コベネフィットと統合的適応 -途上国支援に向けた日本の新たなイニシアティブ-
    財団法人地球環境戦略研究機関 上級コンサルタント 平石 尹彦氏 発表資料(PDF)
    気候変動に係る日本の開発途上国支援を構想から実施へ移す重要な一歩は、これまで個別に進められてきた気候変動対策と開発を統合した取り組みの実施である。コベネフィット・アプローチは、このような取り組みの相乗便益によって効果的に成果を挙げることができると期待される手段であり、開発と気候変動に対する適応策の開発政策への統合とならび、日本の支援策の中心に据えられるべき方策である。
    環境省は、2006年よりコベネフィット・アプローチに係る政策調査および途上国との政策対話を進めてきた。これまでに得られた知見を踏まえ今後の対策推進を働きかけるべく、本年7月開催のG8(北海道洞爺湖サミット)では、コベネフィット・アプローチが気候変動対策の重要議題に挙げられている。また、「クールアース・パートナーシップ」は、新たな資金メカニズムに基づく日本の気候変動対策および途上国支援を強化するものであり、コベネフィット・アプローチおよび統合的適応策の実施の推進とならび、G8本会合においてさらに具体的に議論されることに期待する。また今後、「アジア太平洋気候変動と開発のためのゲートウェイ(APゲートウェイ)」を活用し、コベネフィット・アプローチおよび統合的適応策に係る既存の情報、知識、および過去の優良事例の共有を通して、今後の取り組みの進展に貢献していくことに期待する。
  • 気候変動と開発における日本の協力イニシアティブ:G8環境大臣会合の結果から
    環境省地球温暖化対策課 課長補佐 中川 亜起子氏
    社団法人海外環境協力センター(OECC) 主任研究員 加藤 真氏 発表資料(PDF)
    日本は、2013年以降の国際気候枠組みづくりにおける議論を主導すべく、気候変動対策および途上国開発支援の双方を強化するため、これまでに新たな方策を検討し、実施に向けた準備をすすめている。
    2007年5月に安部元首相により提唱された「美しい星50(Cool Earth 50)」は、2050年までに世界全体の排出量を半減するための中・長期目標である。また、この目標達成を主導すべく、2008年1月、日本は「クールアース・パートナーシップ」として、緩和策、適応策、およびクリーンエネルギーアクセス支援に今後5年間で累計約1兆2,500億円(100億ドル規模)の供与を行う資金メカニズムの構築を世界に提案した。
    今年5月に神戸にて開催されたG8環境大臣会合では、これらの日本提案による中・長期目標を中核として低炭素社会の実現を目指すために更なる協力の必要性が確認された。統合的適応策の実施、キャパシティ・ビルディング、および技術移転等は、日本の持つ技術が大きく貢献できると期待される分野である。このような背景から、環境省としては、気候変動対策と開発課題の双方に同時に取り組みながら効果的に成果を挙げるべく、コベネフィット型プロジェクトの案件発掘および実施に力を入れていく考えである。
  • 途上国に対する日本の資金援助スキーム
    国際協力銀行 開発業務部気候変動対策室 気候変動対策室付専門家 村上 夕香氏 発表資料(PDF)
    これまで国際協力銀行(JBIC)海外経済協力業務では、地球温暖化対策の取り組みとして、気候変動に対する緩和策および適応策の推進に資する事業を数多く支援してきた。
    2008年10月には(独)国際協力機構(JICA)との統合を控えており、統合後の新JICAとしては、有償資金協力、技術協力、無償資金協力の3つの援助手法の特色を有機的に統合し、これまでの気候変動対策分野の支援における重点分野を一層明確にした体制を構築していく。その中で、日本政府が打ち出した資金メカニズム「クールアース・パートナーシップ」を活用し、円借款事業としてはこれまで以上に途上国のオーナーシップを高めるという前提のもと、国連ミレニアム開発目標(MDGs)の達成及び持続可能な開発に貢献すべく安定した資金協力を行うと同時に、開発政策と気候変動対策の両方に寄与するコベネフィット型プロジェクトに対しても積極的に支援する。
    また、開発途上国における気候変動対策への支援の重要な役割として、より効果的なSD-PAM(持続可能な開発政策・措置)に貢献するべく政策支援型ローンの形成、及び開発政策に基づくアクションとしての多数の個別プロジェクトローンの形成(例:インド・デリーにおける運輸交通システム改善事業、インドネシア・バリ島における沿岸域管理事業等)より、その教訓を生かしながら、今後も地域に根ざした気候変動対策支援の拡大と強化を進めていく考えである。
  • 開発途上国からの視点
    タイ天然資源環境省 Aree Wattana Tummakird氏
    タイを含む東南アジア諸国は、気候変動の影響に極めて脆弱な地域であり、早急な取組が必要である。一方、そのような取組を進めるための環境が整っておらず大きな課題を抱えているといえる。
    例えば、正しい形で適応を進めるためには科学的データの収集が必須であるが、多くの東南アジア諸国はそれらの取組が遅れている。また資金的な面においても大規模な資金的な投入が必要と思われるものの、それらが確保されているとは言えない。更に、各国がこれらに取り組む際には、同時にキャパシティ・ビルディングを行う必要がある。
    それらの意味において、APゲートウェイを通じた、地球シミュレータ等の活用、クールアース・パートナーシップの資金活用、日本政府によるキャパシティ・ビルディングの新たな取り組みなどに大きく期待を寄せている。
  • 気候変動と開発のための具体的成果をどう得るのか? -コベネフィット、統合的適応、その他の活動-
    社団法人海外環境協力センター(OECC) 主任研究員 加藤 真氏 発表資料(PDF)
    海外環境協力センター(OECC)は、環境省および日本の開発援助機関との協力の下、開発途上国におけるコベネフィット・アプローチ推進の支援を行っている。いくつかの開発途上国においては、科学的知見に基づく適応策の実施と、開発計画への適応策の統合化に向けた取り組みが進展しつつある。また同時に、コベネフィット・アプローチの推進および適応策実施双方におけるキャパシティ・ビルディングの必要性と期待が高まっている。
    そこで環境省は、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)およびOECCと気候変動対策に係る情報・知識共有のプラットフォームとして「アジア太平洋気候変動と開発のためのゲートウェイ(APゲートウェイ)」を設立した。
    このAPゲートウェイは、開発支援の強化を必要とする地域の特定に係るデータ収集、コベネフィット創出に向けた評価マニュアルの作成、温室効果ガス削減のための既存技術に関する情報提供等、コベネフィット型プロジェクト形成推進に貢献することが期待されている。また、カーボン・オフセットへの関心の高まりとともに、従来と比べてコベネフィット・アプローチに大きな関心を持つ市場プレーヤーが出現していることは特筆すべきことである。このような背景から、環境省は「カーボン・オフセットフォーラム」を設立し、OECCはその事務局として取り組み支援を行っている。


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