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日中環境汚染対策協力ゴールデンウィーク
コベネフィット・アプローチ共同研究ワークショップ

2009年8月24日

2007年12月に両国環境大臣間で交わされたコベネフィット・アプローチに関する意向書に基づき、四川省攀枝花市をモデル都市として、日中コベネフィット協力を進めているところである。今回のワークショップでは、日中コベネフィット協力の更なる推進を目指し、日本側は、コベネフィットの概念および日本が行ってきたコベネフィット関係の調査研究および協力について報告したうえで、コベネフィットにかかる国際的な議論の最新情報(国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の関連会合での交渉の動向を含む)を紹介した。さらに、具体的なコベネフィット型プロジェクトの形成・実施を目指す上で不可欠な適用可能な技術およびコベネフィット型プロジェクトの例を示すとともに、今後のコベネフィット協力の進展を促すために、「コベネフィット・プラットフォーム」構想について紹介した。


開催日時

2009年7月3日(金) 午前8時30分~午後3時

場所

日中友好環境保全センター(中国・北京)

発表者

【司会】

  • 周国梅氏 (中国環境保護部環境経済政策研究センター(PRCEE) 副所長)
  • 小柳秀明氏 (財団法人地球環境戦略研究機関(IGES) 北京事務所長)

【発表者】

  • 相澤寛史氏 (環境省水・大気環境局水・大気環境国際協力推進室 課長補佐)
  • 加藤真氏 (社団法人海外環境協力センター(OECC) 主席研究員)
  • 李麗平氏 (中国環境保護部環境経済政策研究センター(PRCEE))
  • 山田和人氏 (パシフィックコンサルタンツ株式会社 環境事業本部地球環境部部長)
  • 藤塚哲朗氏 (財団法人地球環境戦略研究機関(IGES) 関西センター参与)
  • 胡涛氏 (中国環境保護部環境経済政策研究センター(PRCEE))
  • 中里太治氏 (独立行政法人国際協力機構(JICA) 中国事務所次長)
  • 李浩宇氏 (攀枝花市環境モニタリングステーション)

プログラム

開会の挨拶
  • 日中友好環境保全センター センター長 唐丁丁氏
  • 日本環境省水・大気環境局水・大気環境国際協力推進室 室長 和田篤也氏
  • 中国環境保護部汚染物質排出総量抑制司大気総量処 処長 呉険峰氏
  • コベネフィットにかかる議論の背景と日本の協力
    環境省水・大気環境局水・大気環境国際協力推進室 課長補佐 相澤寛史氏
  • コベネフィットにかかる国際的動向
    社団法人海外環境協力センター(OECC) 主席研究員 加藤真氏
  • 中国におけるコベネフィット研究の進展
    中国環境保護部環境経済政策研究センター(PRCEE) 李麗平氏
  • コベネフィット・アプローチの技術的側面
    パシフィックコンサルタンツ株式会社環境事業本部地球環境部 部長 山田和人氏
  • コベネフィット・プラットフォームの構築について
    財団法人地球環境戦略研究機関(IGES) 関西センター参与 藤塚哲朗氏
  • コベネフィットと協同制御アプローチ論
    中国環境保護部環境経済政策研究センター(PRCEE) 胡涛氏
  • 日本の政府開発援助(ODA)とコベネフィット協力の展開
    国際協力機構(JICA) 中国事務所次長 中里太治氏
  • 攀枝花市コベネフィットプロジェクト 攀枝花市環境モニタリングステーション
    李浩宇氏
質疑応答

会議画像

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議論のポイント

  • コベネフィットにかかる議論の背景と日本の協力
    相澤寛史氏 / 環境省水・大気環境局水・大気環境国際協力推進室 課長補佐 発表資料(PDF)
    コベネフィット・アプローチとは、温暖化対策を実施し、同時に開発途上国の開発のニーズ・環境汚染対策を実現することのできる取組を指す。特に、開発途上国のニーズが高い環境汚染対策は、気候変動対策にも寄与する可能性が高いといわれている。日本が進めているコベネフィット協力は、日中および日インドネシア間の二国間協力の他に、民間事業者に対する補助事業としてコベネフィットCDMモデル事業があり、初年度の2008年度はマレーシアとタイの事業2件を採択した。今後の展望としては、アジアを中心とした具体的な取組の推進、コベネフィット技術の調査と普及展開、コベネフィット評価手法の整備、気候変動にかかる国際交渉へのインプット等が挙げられる。
  • コベネフィットにかかる国際的動向
    加藤真氏 / 海外環境協力センター(OECC) 主席研究員 発表資料(PDF)
    コベネフィットにかかる気候変動の国際交渉は、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の下での長期的協力の行動のための特別作業部会(AWG-LCA)とUNFCCC京都議定書の下での附属書I国の更なる約束に関する特別作業部会(AWG-KP)の2つの作業部会で進められる。2009年12月のデンマーク・コペンハーゲンではUNFCCC第15回締約国会合(COP15)および京都議定書第5回締約国会合(COP/MOP5)が開催され、次期枠組み(2013年以降)の合意がなされる予定であり、今年は複数回の会合が開催される。開発途上国の緩和行動については、2007年のUNFCCC第13回締約国会合(COP13)で採択された「バリ行動計画」で明示されている通り、「途上国による国毎の適切な緩和行動(Nationally Appropriate Mitigation Actions(NAMAs))」を将来的に実施していくことが合意された。NAMAsの具体的な内容および実施方法は国際交渉の中心的な議題として取り上げられ、国際交渉が進行中であるが、コベネフィット・アプローチは途上国における緩和行動を強化及びスケールアップするための有効なアプローチとして考えられている。
  • 中国におけるコベネフィット研究の進展
    李麗平氏 / 中国環境保護部 環境経済政策研究センター 発表資料(PDF)
    中国のコベネフィット研究の歴史は1999年のアメリカとの協力が最初である。自国の開発の研究だけでなく、国際協力の研究、都市関連の研究、また、プロジェクト型の研究など幅広い研究を行ってきた。中国のコベネフィットに関する研究については4つの段階に分けることができる。第一段階(1999年以前)は気候変動と環境汚染を別々に考えていた段階、第二段階(1999年~2004年)はコベネフィット・アプローチの評価の段階、第三段階(2004年~2006年)は政策評価の段階である。第四段階(2006年~現在)は、コベネフィットという概念を「協同制御」という概念まで引き上げた段階である。今後の課題としては、①コベネフィット・アプローチの研究を深化させ、②コベネフィット型モデル事業の実施、③コベネフィット・アプローチに基づく低炭素型経済の実現等が挙げられる。
  • コベネフィット・アプローチの技術的側面
    山田和人氏 / パシフィックコンサルタンツ株式会社 環境事業本部地球環境部 部長 発表資料(PDF)
    クリーン開発メカニズム(CDM)により温室効果ガス(GHG)削減量の算定のための手法は整備されたが、CDMの目的のひとつである「持続可能な開発の達成支援」の定量化手法は整備されていないといえる。開発途上国においては、「持続可能な開発の達成支援」、つまり開発途上国が直面する問題の解決に資するコベネフィットの実現が、GHG削減よりも重要視される場合がある。コベネフィット型温暖化対策の形成・実施を促進するためには、温室効果ガス(GHG)削減効果のみならず、コベネフィットを定量化し認識する必要がある。その上で、コベネフィットの効果に応じてインセンティブを与えることにより、当該対策の実施を促進することが可能となる。UNFCCCにおいては、コベネフィット型温暖化対策に対するインセンティブの付与の方法等に関して検討中である。さらに、このコベネフィットを最大化することを目的とした開発途上国の開発計画のコベネフィットの定量化手法、つまり開発計画自体の効果を定量化して評価する手法の構築も重要である。
  • コベネフィット・プラットフォームの構築について
    藤塚哲朗氏 / 財団法人地球環境戦略研究機関(IGES) 関西センター参与 発表資料(PDF)
    環境汚染(公害)は緊急の課題であり、環境汚染対策としてはコベネフィット・アプローチに基づいた対策の形成・実施が有効である。日本が持つ技術・ノウハウを、幅広い主体の連携(フォーラム)とコア組織(プラットフォーム)を通して支援していくことが重要である。IGES関西センターは、多種多様な企業・産業・技術が集積し、生活者の視点で新商品・サービスを生み出す伝統を持ち、知と文化が集積する関西に立地する強みを持つ。この強みを生かし、今後は地方自治体、産業界、大学、UNEP/IETC (国際環境技術センター)、国立環境研究所、JICA/国際機関(アジア開発銀行(ADB)等)との連携を強め、人材育成、案件発掘、技術移転、コベネフィット技術の普及展開等を進めていく必要がある。
  • コベネフィットと協同制御アプローチ論
    胡涛氏 / 中国環境保護部 環境経済政策研究センター 発表資料(PDF)
    低硫黄・低炭素型の「第十二次5ヵ年計画」と「第十三次5ヵ年計画」に向けて、中国・ノルウェー間で大気汚染と温室効果ガス(GHG)の協同制御プロジェクトを実施している。本プロジェクトの目標は、(1)政策策定、技術の選択を通して、化石エネルギー起源の汚染源のフロントエンドの協同制御を行い、コベネフィットの最大化、総合的な排出削減コストの最小化という目標を達成すること及び(2)環境と経済のマクロ分析、業界製品の排出削減案の設計、地方のケースとモデルケースを通して、中国の省エネルギー・GHG排出削減の協同制御の具体案を打ち出し、第十二次5ヵ年計画、第十三次5ヵ年計画に対して政策提案を行うことである。
  • 日本の政府開発援助(ODA)とコベネフィット協力の展開
    中里太治氏 / 独立行政法人国際協力機構(JICA) 中国事務所次長
    日本は中国に対し、1979年から現在に至るまで通算330億ドルのODAを供与してきた。そのうち約9割に当たる300億ドルは円借款として、全ての省における367事業に供与されてきた。その殆どが経済インフラ整備のための建設事業に供与された。円借款事業の中で、温室効果ガス(GHG)削減が見込まれる事業については、コベネフィットの定量化を試みてきた。事後的ではあるが、30年前の円借款事業を含む中国における事業によるGHG削減効果等の定量的評価、作業を現在実施している。今後のJICAのコベネフィット関連の取り組みは、第一に円借款の全事業についてのコベネフィットの定量化評価を2009年中に実施し、中国の関連部門に報告し、今後の中国のコベネフィット政策の策定に活用することを目指す。第二に、コベネフィットに関する技術協力事業の形成・実施を実現する。具体的には、コベネフィット評価方法の整備、コベネフィット型取り組みの具体例を共有し、また中国の地方環境保護部門と交流をはかり人材育成を行っていくことを考えている。
  • 攀枝花市におけるコベネフィットプロジェクト
    李浩宇氏 / 攀枝花市モニタリングステーション
    攀枝花市は現在、社会・経済の転換期にあり、開発と環境汚染の矛盾が顕著である。このような特徴は、中国中西部の都市に共通したものである。このような背景に基づいて、攀枝花市は日本の環境管理の経験・ノウハウを学ぶことは有益であると考える。現在進行中の日中コベネフィット協力は、日中双方が便益を確保し、中国が直面している多様な環境問題の解決を目指すものである。環境汚染物質排出削減とGHG排出削減の達成を目指して基礎的な研究を行うことは、攀枝花市が資源節約を実現し、環境に優しい持続可能な資源開発型都市として進展するうえで大きな意味を持つ。


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