国連気候変動枠組条約特別作業部会バルセロナ会合サイドイベント
コベネフィットの定量評価:緩和行動とローカルな便益の実現にむけて
Quantitative Assessment of Co-benefits:
Addressing Mitigation Actions and Local Benefits
Addressing Mitigation Actions and Local Benefits
海外環境協力センター(OECC)は、環境省との共催で、2009年11月5日に国連気候変動枠組条約第9回京都議定書の下での附属書 I 国の更なる約束に関する特別作業部会再開会合(AWG-KP9)及び第7回条約の下での長期的協力の行動のための特別作業部会再開会合(AWG-LCA7)のサイドイベントとして、「コベネフィットの定量的評価:緩和行動とローカルな便益の実現に向けて(Quantitative Assessment of Co-benefits: Addressing Mitigation Actions and Local Benefits)」を開催した。
今回のサイドイベントでは、気候変動対策と開発便益を伴うコベネフィット・アプローチに関する環境省の活動報告とコベネフィット定量評価マニュアル(第1.0版)の紹介をした。実際のコベネフィット・アプローチに基づく活動の経験や今後の課題が共有され、改めてコベネフィット概念と定量評価の重要性が認識されるとともに、今後の活動進捗について参加者から多くの関心が寄せられた。
開催日時
開催場所
発表者
【座長】
- 平石尹彦氏(財団法人地球環境戦略研究機関(IGES))
【発表者】
- 鈴木あや子(環境省)
- 水野芳博(パシフィックコンサルタンツ株式会社)
- 加藤 真(OECC)
プログラム
- 開会の挨拶(森谷 賢氏/環境省)
- 座長のガイダンス(平石尹彦氏/IGES)
- コベネフィット・アプローチ促進のための環境省の取り組み(鈴木あや子氏/環境省)
- 「コベネフィット定量評価マニュアル(第1.0版)」の紹介(水野芳博氏/パシフィックコンサルタンツ株式会社)
- マニュアルの普及とコペンハーゲンのサイドイベントにむけて(加藤 真氏/OECC) 質疑応答
会議画像
議論のポイント
- 座長のガイダンス
平石尹彦氏/IGES 発表資料(PDF) - コベネフィット・アプローチ促進のための環境省の取り組み
鈴木あや子氏/環境省 発表資料(PDF)環境汚染対策分野におけるコベネフィット型温暖化対策・クリーン開発メカニズム(CDM)とは、途上国の開発ニーズの一つとしての環境改善(環境汚染物質の削減)と温室効果ガス(GHG)の削減とが同時に実現される対策・プロジェクトを指す。気候変動対策と環境汚染対策の双方に資する取組みを促進するコベネフィット・アプローチについて、環境省は、①コベネフィットCDMモデル事業(補助事業)、②「コベネフィット定量評価マニュアル」および③二国間のコベネフィット協力等の取組み等を具体的な支援策として実施している。①のコベネフィットCDMモデル事業は2008年から開始した補助事業であり、2008年度はコベネフィットの評価基準に基づいて選定を行った結果、マレーシアおよびタイにおけるモデルプロジェクトを支援することを決定した。③の二国間のコベネフィット協力について、インドネシア環境省と中国環境保護部との間でそれぞれ2007年12月、コベネフィット・アプローチを促進する二国間協力の意向書を締結しており、協議の結果、インドネシアはバンジャルマシン市およびパレンバン市、中国は四川省攀枝花市をモデル都市として選定した。今後は、コベネフィットの定量評価ツールを改善するとともに、具体的なコベネフィット型対策・CDMプロジェクトの実現を目指している。 - 「コベネフィット定量評価マニュアル(第1.0版)」の紹介
水野芳博氏/パシフィックコンサルタンツ株式会社 発表資料(PDF)マニュアルは、コベネフィット型温暖化対策・CDM の実施に際して、環境改善便益と気候変動便益の2つ以上の効果をできる限り簡便かつ定量的な評価方法を示すことにより、コベネフィット型温暖化対策・CDM の導入・推進を促すことを目的としている。 マニュアルでは、コベネフィット型温暖化対策・CDM の対象分野として、「水質改善」 「大気質改善」「廃棄物管理」の3つの環境汚染対策分野に着目し、環境改善に資するGHG削減(緩和)対策を支援・推進するための評価手法および適用する計算式や実際の計算事例を取り纏めている。
コベネフィット定量評価の実施手順は、①評価分野(水質・大気・廃棄物)を選択し、②評価指標の選択、③評価レベルの選択を経て、④評価計算を実施する。3つの環境汚染対策分野における評価指標としては、水質改善は化学的酸素要求量(COD)・臭気・メタンおよびCO2、大気質改善は硫黄酸化物(SOx)・窒素酸化物(NOx)・ばいじん・CO2、廃棄物管理は廃棄物管理基盤システムの確立・廃棄物の適正処理等がある。選択した評価指標を使って、Tier1~3のいずれかの評価レベルで計算を行う。Tier1は、効果の計算に必要な算定式の設定、データの取得が困難であり、定量評価が出来ない場合に、予め設定された定性的な評価基準に基づいて評価するもので、簡易的に実施できる評価方法である。したがって、Tier1を用いた場合は定性評価といえる。 今後は、評価指標をより多くリストアップする、評価結果を貨幣価値に換算する手法を開発する等、マニュアルの改訂を行う。また、日本環境省のコベネフィットCDMモデル事業にマニュアルを適用しコベネフィットを実際に算定し、マニュアル改訂に反映する。
- コベネフィット定量評価マニュアルの普及とコペンハーゲンのサイドイベントにむけて
加藤 真氏/OECC 発表資料(PDF)CDMでは、温室効果ガス(GHG)削減が主たる便益と考えられ、CDMプロジェクトの実施によるGHG削減効果(緩和効果)を厳格に定量評価している。CDMプロジェクトにおける副次的便益(コベネフィット)として、環境改善効果やその他開発便益が考えられるが、それらの定量評価は必須とされていない。他方、主たる便益が開発便益(例えばエネルギー需給の安定や環境管理等)の活動においても、GHG削減効果が実現され得るが、どの程度のGHG削減効果があるかという定量評価は一般的に実施されていない。途上国における国毎に適切な緩和行動(NAMA)の形成・実施において、各途上国の状況を踏まえ、各国の開発計画との調整を図りつつ、既存あるいは将来の開発計画にコベネフィットとしての緩和効果を反映させていくことが重要である。コベネフィット定量評価マニュアルは、バリ行動計画に記された計測・報告・検証可能性(MRV)の確保の一助となる。
2009年12月のコペンハーゲン会合のサイドイベントでは、日本環境省と中国環境保護部間のコベネフィット協力の一環で実施している共同研究の成果発表を行う。この共同研究では、市レベルの環境汚染物質削減計画を実施することで得られるGHG削減効果の定量評価を試みている。環境汚染物質削減計画の主たる目的は、汚染物質の削減(環境改善)であり、その副次的便益としてGHG削減効果(緩和効果)を想定している。この定量評価結果は、将来の計画策定や実施において有益な情報となり得る。




