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1.当社の京都メカニズムに対する取り組み
清水建設は総合建設・エンジニアリング企業として、国内外の様々な建築・土木プロジェクトに関わっています。京都メカニズムに対しては、平成11年度のNEDO・共同実施等推進基礎調査からその取り組みを始めました。
当初は、(1)当社の保有技術を生かし、(2)日本政府が排出権を獲得し、さらに(3)円借款プロジェクトを発掘することを主な狙いとしていました。しかし、京都議定書の発効が現実のものとなり、社会・企業経営が今まで以上に環境重視姿勢になったこと、マラケシュ合意でCDMではODAの流用が認められなくなったことから、その取り組み姿勢は徐々に変化していきました。
現在では、(1)当社の保有技術を生かすことはもちろん、(2)経団連自主行動計画の目標を達成し、(3)当社独自の自主的な環境経営活動を進めて当社の社会的責任を果たすために京都メカニズムに取り組んでおり、さらに(4)顧客の温室効果ガス削減計画への支援も目的としています。
当社がNEDO、GEC、JETROから受託したCDM/JIプロジェクトのFSの数は17件になりますが、当社ではこれらを順次実現させるための具体的な活動を行っております。
2.アルメニアにおけるCDMプロジェクト
当社が第一号案件として推進しているCDMプロジェクトが、アルメニアの首都エレバン市におけるランドフィルプロジェクトです。このプロジェクトは、平成13年度のNEDO・共同実施等推進基礎調査によりFSを実施し、平成15年度のGEC・CDM認証モデル事業により仮PDDを作成、有効化審査を実施し(DOEはJQA)、平成16年度の環境省・二酸化炭素排出抑制対策事業等補助金を得て、正式な有効化審査を受けて(DOEはJQA)、国連への登録を申請しました。
国連登録は2005年11月28日に完了しました。この結果、このプロジェクトは、日本が投資国となる10件目のCDMプロジェクトとなり、日本の建設会社がプロジェクト参加者として登録を完了させた初めてのプロジェクトとなりました。
このプロジェクトは、アルメニアの首都エレバン郊外にあるヌバラシェン廃棄物埋立処分場のランドフィルガスを回収し、フレア処理・発電利用するものであります。クレジット期間は2007年からの16年間で、年間平均約13.5万トンのCERを獲得できる見込みです。プロジェクト参加者には、当社の他に北海道電力株式会社、三井物産株式会社、エレバン市が加わっています。
今後は、プロジェクト参加者間で、プロジェクトの具体的な進め方についてより深い議論をし、設計、施工のフェーズに進めたいと考えています。
3.プロジェクト開発の際の留意点
プロジェクトを開発する際に当社が留意している点は、(1)当社の保有技術が生かせること、(2)ホスト国のCDM/JI受け入れ体制が整っていること、(3)プロジェクトが現地ニーズと合致していること、などです。
資金の調達方法も様々であり、いわゆる初期投資型が向いているプロジェクトもあれば、ペイオンデリバリー型が向いているプロジェクトもあります。ホスト国によっても、初期投資型でないと立ち行かない場合もあれば、ペイオンデリバリー型を好む体質がある国もあります。どのような資金の調達方法が適切かは、かなり専門的な判断が要求されるところです。
DOEの選定も重要です。通常規模のCDMでは、有効化審査と検証は別のDOEに発注しなければならず、検証の体制を考慮し、どのDOEに有効化審査を発注するのが適切か、検討する必要があります。
プロジェクトを成功させる秘訣は、途上国のSDに貢献するだけではなく、ホスト国の関係者にどのようなインセンティブを与えられるかです。
4.プロジェクト開発に携わった者としての感想
当社では、CDM/JIプロジェクトの発掘、開発から実施、運営に至るまで、すべてのプロセスに主体的に関わることを目指しています。例えばPDDの作成も、当社ではそのすべての作業を社内で行っており、外注はしていません。PDDの作成は非常に専門的な知識や技術を要するものであり、その難しさや苦労は自分で書いたことのある人にしか理解できないものです。
CDM/JIといったものをさらに世界中で推進して一般的なものにし、地球温暖化防止を達成させるには、こういった難しいルールや難解な議論をもっと簡易にする必要があると思います。また、UNFCCC、京都議定書、COPの決定事項、CDM理事会の決定事項等の膨大な量(ほとんど天文学的な量)の英文の資料も、もっと簡便に日本語でまとめられないものでしょうか。変化のスピードが速すぎて、何が最新の情報なのかを把握するだけで一苦労なのが実状ではあるまいか、と感じています。
また、JIではCDMよりも気をつけなければならないことが多々あります。例えば、たいていのホスト国では第一約束期間のERUの移転しか認めていないか、第一約束期間の後のことが非常に不透明です。CDMの場合においても、現状では第一約束期間の後のCERの経済的価値がどのようになるのか不透明であり、このままでは、初期投資金額に対してCER/ERUの獲得量が大きいプロジェクト(フロン、N2O、メタンを削減対象としたプロジェクト)しか推進できず、CO2削減を対象とした省エネプロジェクトが推進できなくなってしまう恐れがあります。COP/MOPで「京都以後」の議論が早急に進むことを期待しています。
いろいろな国のいろいろな立場の人と会話を交わして感じたことは、世界のどこへ行っても「日本はすばらしい国である。」と見られているということです。この国に生まれたことに感謝しつつ、これからも地球温暖化防止のために努力していきたいと考えています。
最後にCDM/JIの世界で日々苦労されている皆様のご活躍を祈念し、またこの寄稿の機会を頂きました(社)海外環境協力センター様に御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。
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