- 当社の京都メカニズムの位置付け
関西電力では電気事業連合会の自主行動計画である1990年対比排出原単位で△20%を達成するための対策オプションのひとつとして京都メカニズムを積極的に活用することとしています。電力の需要は気温などの影響を強く受けますし、また電力供給の源となる発電でも降水量によって水力発電の電力量が影響されるなど、変動要因が多く存在します。また設備を更新する場合でもかなり長期間のリードタイムを要します。そのため京都メカニズムから創出される排出権は変動要因への対応や設備導入の際の激変緩和のために柔軟性を確保できるという点で重要です。勿論エネルギー事業者として排出原単位を改善するためには安全を前提とした原子力稼働率の向上や火力発電の設備対策が本線です。しかし費用対効果や時間的な制約も考慮して京都メカニズムの活用も視野に入れる必要があると考えています。
- 当社のCDMの実績
当社は2001年からCDMプロジェクトとしてブータンの小水力発電プロジェクトを始めました。このプロジェクトはパイロットプロジェクトとしてCDMを実際に遂行する際のプロセスに関する知見を獲得すること、及び問題点や課題を発見し改善点を提言することを目的としており、排出権自体の取得は目的としておりませんでした。ここでの経験を生かして、以降中国の小水力案件、風力発電案件、マレーシアでのパームオイルの搾りかすをコンポスト化する案件、シンガポールの省エネ案件など排出権取得を目的とした実践的な案件に参画しています。今後とも積極的に進めていく予定です。
- 当社のプロジェクト参画のクライテリア
CDMプロジェクトに参画する際に当社が留意している点は3点あります。まず第1点は気候変動問題に実際に有効であることです。そのためにはプロジェクトベースの温暖化ガス削減対策が存在することが必要です。実際にプロジェクトが実現して初めて削減できると考えています。次にその削減プロジェクトが技術に基づいていることです。技術は非常に重要な鍵で、技術の開発や浸透が気候変動の問題を解決できます。3番目はプロジェクトを実施する地域環境や地域社会に対して害がないことです。地域環境が確保されてこそ地球環境の問題になり、それが持続可能な発展には不可欠と考えています。
同時に我々は規模の小さいプロジェクトを推進していく必要があると考えています。削減量の少ないプロジェクトは効率的ではありません。CDMプロセスは基本的に削減量に関らず手間は同じであり、コストの観点からも小規模案件は不利であることは明らかです。しかし気候変動問題は個々の小さな排出の蓄積であり、効率的でないからという理由で排除することは本質ではありません。当社では出来る限り規模が大きくならない省エネルギー案件にも力を入れていきたいと考えています。
- 排出権ビジネスにおけるリスク
気候変動問題を含む環境関連ビジネスにおける、最大のリスクはスキャンダルです。排出権の獲得に際して費用や効率性は重要な要素ですが、最も注意を払うポイントは意図せずしてスキャンダルに巻き込まれる可能性です。排出権そのものは、手に取って目に見えるものではなく、その便益を体感できないものであることは事実です。その排出権に費用をかけるわけですから、仮にスキャンダルに巻き込まれることがあれば、「やらない方がまし」という評価をされるだけです。最近、色々な所で「偽装」の報道がされています。排出権ビジネスの業界では、実際の排出量は「偽装」されにくいと思いますが、「削減量」は架空のベースラインと実際の排出量の差なので、過剰積算の可能性があり、その結果偽装をもたらす可能性があります。またプロジェクト当事者として「削減量」を大きく見せたいという誘惑は必ずあると思います。しかし過大評価によって計算された「削減量」を活用することは社会的に認められないと考えています。従ってあまり「野心的」にならず「保守的」な手法で評価するようにしています。
最後に京都メカニズムの業界の方々の御活躍を祈念し、またこの寄稿の機会を頂きました(社)海外環境協力センター様に御礼申し上げます。
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| マレーシア コンポストプラント |
中国甘粛省小水力発電所 |